Quantcast
Channel: 就実大学・就実短期大学
Viewing all articles
Browse latest Browse all 754

公開講座実施報告

$
0
0

 

 

後期第6回 平成28年11月19日(土)

「Science For All 理科的に生きよう!」

福井 広和(教育学部 初等教育学科 准教授)

最初に直角三角形の面積を求める問題を提示した。多くの受講者はすぐに答えを導いたが、じつは「指定された辺の長さの直角三角形は存在しない」が正答であった。公式に頼ることの落とし穴を体験した。また、今話題の次期米国大統領トランプ氏に対する印象を伺い、偏った情報や歪曲した情報をもとに固定概念を持ってしまうことの怖さについて話された。その後、理科教育の目的について触れられ、自分の頭で考え、実験的に確かめること重要性について、ご自身の教育論をお話された。また、「見れども見れず」というお話では、1.コンセントの穴は左右どちらが長いか? 2.信号機の青色は左か右か? 3.大根のひげ根はどのように生えているか? など、普段見ていることが意外にあいまいであるということを具体例をもとに説明された。理科的に生きるとは、「予想を立てて実験し、結果を客観的に評価して新たな疑問をもって一段進むこと」。こうしたPDCAサイクルの重要性についてお話された。

最後に、これまでのご自身の経験から、「教師はとてもやりがいのある職業です」と語られ、誇りと責任を持って現在の仕事に臨まれていることをお示しされて閉会した。




 

 

 

後期第5回 平成28年11月12日(土)

「学校園のメンタルヘルス」

高木 亮(教育学部 初等教育学科 准教授)

今日は、機嫌の良い日でしたか?機嫌よく生きていきましょう。

明日はきっと、機嫌のよい日になるはずです。

メンタルヘルスとは、定点的な快/不快の問題ではなく、「今日はきっとよいことがあるぞ!、今日はなくても明日はいいぞ!」と考え、未来に明るい希望をもって生きていこうとする動的な姿勢です。人が生きていく上で、こういった前向きな心の働きを妨げる出来事がストレス(ストレッサー)と呼ばれます。しかし、人間にとって、ストレッサーがまったくの取り除かれた状態が良いわけでなく、人生のスパイスとして、乗り越えることのできるストレッサーがある方が幸せを感じることができます。

幸福とは、自分に関わる世の中のすべての出来事を肯定的にとらえ、自分を機嫌のいい状態にしようとすることであると、お話しを伺って考えました。

 

 

後期第4回 平成28年11月5日(土)

「子育て支援を考える」

丹生 裕一(教育学部 初等教育学科 教授)

小学校の国語の教科書に掲載された物語「桃花片」を読み解きながら、先生が小学校教諭としての28年間の経験のなかで出会って学ばれたテーマ「本物の教師とは」をお伝えくださいました。

 

36名のご参加の皆さんの中には現職の教員やかつて教員でいらした方もおいでになられ、「素晴らしい熱血教師と巡り会えました。」「講師の先生自らの経験を語って下さり、とても心に響きました。『本当によい授業を追い求める』姿勢こそが大切なのですね」等、感銘を受けたとのアンケートが数多く見られました。ともすれば、教材研究、教育技術が一人歩きし、また学校という教育の現場が、社会に対する「目玉」を創出することに躍起ならざるを得ない現代にあっても「人としての魂のある教育をしていきたい」との先生の姿勢がにじみ出た講演でした。


 

 

後期第3回 平成28年10月29日(土)

「子育て支援を考える」

村田 恵子(教育学部 初等教育学科 准教授)

本講座のテーマは「子育て支援を考える」で、その内容は、具体的な取り組みの事例を紹介しながら、子育て支援の現状とその可能性について考えていくものでした。本講座では、講師が一方的に話をする講義型ではなく、グループごとの話し合いを重視したワークショップ形式が採用されていました。各グループのメンバーの共通点を見つけるというワークから始まった本講座は、終始、穏やかで温かい空気に包まれていました。また、それぞれのグループには村田ゼミの学生が配置され、彼女/彼らが適切にファシリテーター役を担っていたことも印象に残りました。受講されたみなさんは、有意義な時間を過ごされたことと思います。


 

 

後期第2回 平成28年10月15日(土)

「運動のススメ」

飯田 智行(教育学部 初等教育学科 講師)

まず、ロコモティブシンドロームについて講義が行われ、過去にスポーツ経験がない人でも今から始めれば効果が得られること、加齢による機能の低下は仕方ないが、運動によって機能を緩めることができることが説明された。飯田講師によれば、運動において重要なのは、①自分にあった運動をする、②運動の危険性を知る、③継続する、④準備運動・整理運動をしっかりとするの四点である。その後、「無理をしない、ゆっくり呼吸を、気楽に楽しく」をモットーとして、受講者19名が実際に運動を行った。

 

今回用意された運動機能テストは、「長座体前屈」「握力」「開眼片足立ち」「5m最大歩行」「2ステップ」「ストループ課題」「ADLテスト(日常生活活動テスト)」の7項目である。学生の協力のもと、受講者それぞれが運動機能の測定を行い、さらに希望者はトレーニングルームに移動して、学生から説明を受けながらサイクルマシンやステップトレーナー、筋力アップマシンなどを使ってさまざまな運動を体験した。受講者全員がいきいきと体を動かしておられ、運動することの楽しさを学ばれたことがうかがえる回であった。


 

後期第1回 平成28年10月1日(土)

「『絶対音感』は存在しない?―音楽の不確実性と多様性―」

安久津 太一(教育学部 初等教育学科 講師)

演者の外国でのバイオリン演奏の経験から、非言語的コミュニケーションにおけるごく自然な食違いの経験をもとに考察が深められた。

日本の音楽教育においては絶対音感が基本である。一方、オーケストラが起源の異なる多数の楽器を有しているため、楽器間の調和が求められる。換言すれば、日本の音楽教育で欠如している相対音感が求められる。演奏者の音楽体験または楽器の違いからも絶対音感、あるいは相対音感なのか、バックボーンとなる音感が異なってくる。オーケストラでは、それを越えてハーモニーが求められるため、相対音感が重要となってくる。

音楽教育の現場の立場からは、コミュニケーションにおける相対的な意識を持たざるを得ないことが示唆される。実例として、演者が経験した合衆国国内のハーレムでの教育体験が示され、破壊的なクラスが音楽教育体験をもとに一つのまとまりを示していった事例を示していただいた。

非言語的コミュニケーションとしての音楽は、その教育方法において、学ぶ者の多様性と調和させるために必要な技能の習得という意味において、音楽の持つ特殊性を意識した方法がとられるべきであろう。


 

前期第6回 平成28年7月9日(土)

「母さん、今日英語の時間に現在完了って習ったんだけど、あれって何?」

森安 秀之(短期大学 生活実践科学科 教授)

今回の講座では、まず日本語と英語の例を通してテンス(時制)とアスペクト(相)を確認した後、英語の動詞を中心とした塊についてブロックの組み合わせとして理解する方法を学び、最終的には英語の疑問文や否定文はテンスを利用するとすっきりと説明できることを分かりやすく具体的にユーモアを交えながら示してくださいました。普段何気なく用いている言葉の奥深さ、動作の様相、日本語と英語の差異について、岡山弁のフレーズにも触れながら、改めて考える貴重な時間となりました。梅雨空の中、多くの受講生が知的好奇心を駆り立てられながら熱心に耳を傾け、先生が投げかけた課題にも積極的に取り組まれておられました。

 

前期第5回 平成28年7月2日(土)

「サッカーボールの黒い五角形は何個あるでしょう?」

原田 龍宜(短期大学 生活実践科学科 准教授)

今回は、「サッカーボールの黒い正五角形はいくつあるでしょう?」というテーマで、正多面体に関する講義が行われました。

「ポリドロン」という組み立てキットを用いて、実際に様々な正多面体を作りながらの講義で、正四面体から、難度の高い正二十面体の作成まで成功された受講者の方もいらっしゃいました。

正多面体の面・辺・頂点の数などの法則性を示したオイラー標数などを取り上げながら、性質を証明することの難しさや可能性について、正多面体に関する研究の変遷を示しながらの丁寧なご説明で、興味をもたれた方も多かったことと思います。参加者は約60名で、楽しく、大変充実した講座となりました。


 

前期第4回 平成28年6月25日(土)

「中国地方におけるサメの食習慣はどのようにして形成されたのか?」

畦 五月(短期大学 生活実践科学科 准教授)

生活実践科学科の畦五月准教授が「中国地方におけるサメの食習慣はどのように形成されたか?」というテーマで講演され、56名の受講者が興味深く受講した。サメは世界に400~500種生息しており、そのうち日本近海に約120種がいる。多種類が存在したために江戸時代までサメとフカは別々の魚と認識されていた。その調理方法は、東北地方では煮物を、中国地方では生の刺身を中心に、湯引き、あえもの、焼き物など多様な調理法で、江戸時代から現代に至るまで食用に供されている。特に広島や岡山の山間部ではアンモニアを含むため腐食が進みにくく保存性が高いというサメの持つ特性から、また、山陰の漁獲地でヒレを取ったサメを廃棄していたものが行商により山間部へ運搬され双方向の物流が可能となった点などから、海岸部ではなく山間部で正月料理など「ハレ食」としてサメの食習慣が形成されたという研究成果を紹介された。


 

前期第3回 平成28年6月18日(土)

「身体をいたわり、布もいたわる?!」

菊永 典子 (短期大学 生活実践科学科 教授)

衣類について、素材に関する基礎的な内容に始まり、既製品のリフォームまで、「衣」に関連して日常生活を見つめ直すきっかけになる話題が多く盛り込まれた内容でした。衣類の素材は、天然繊維・化学繊維に大きく分けられます。天然繊維には、綿・麻などの植物繊維、羊毛・羽毛・絹などの動物繊維があります。それぞれの繊維には特色があり、希少性のあるものもあります。1892年のレーヨンに始まり、化学繊維が次々に発明されます。合成繊維の代表的なものとして、ナイロン・ポリエステル・アクリルがあり、現在も多くの衣類に用いられています。被服と身体の関係性について、人体の骨格の形状・関節の形からも考えられます。筋の収縮に伴い、皮膚は伸縮自在ですが、被服は素材により伸縮率が異なります。試着では実際に体を動かして被服のゆとりを考える必要があります。

「手軽にできるリフォーム」として、ワイシャツやネクタイ、タオルなど身近なもの、使わなくなった衣類等を利用して、エプロン、袋物などの小物、日用品の作成例が紹介されました。実際に作られたリフォーム例の作品を会場で手に取って頂き、関心が集まりました。多くの既製品が市販され、衣類の素材や身体との関係性について、改めて考える機会が失われつつある昨今ですが、会場では90名余が熱心に受講してくださっていたことが印象に残りました。

午後からは、希望者が被服構成実習室で、ミシンを使ってタオルを使った帽子を作成しました。この「タオル帽子」は、生活実践科学科の学生が、ボランティアでも作成しており、病院などに寄贈して喜ばれているものです。使ってくださった方からのアンケート等により、縫製しやすくかつ使い心地のよい形が工夫され、その一端を一般の方にも体感して頂けるよい機会となりました。

 

 

前期第2回 平成28年6月11日(土)

「食品の色には意味がある?」

岡本 己恵子 (短期大学 生活実践科学科 教授)

色は「食品の顔」であり、食品の良否を判断する要素、おいしさを決める要因となっています。私たちは、食品の色から、様々なイメージを喚起されます。懐石料理などの「和食」は、「目で味わう」と言われ、「自然の美しさや季節の移ろいの表現」「年中行事との密接な関わり」などが評価され、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されています。日本料理では緑色が多く使われ、よい献立の条件のポイントになっています。和食の調理法の基礎になったのは、平安時代に伝わった古代中国の五行思想です。「五行配当表」によれば、「五色」は、青(緑)、黄、赤、白、黒で、食物にはそれに相当する色素が含まれ、健康上有効なはたらきをしています。「食材五色バランス健康法」は、食材を色別に五種類に分類し、出来るだけ五色の食材が入っているものを選ぶことで、バランスのよい食事につながるというものです。主な天然色素は、「フラボノイド系」「カロテノイド系」「ポルフィリン系」の三つに分けられ、前二者では抗酸化作用が期待されています。多くの疾患につながる過剰な「活性酸素」は、紫外線・ストレス・加齢などの要因で増加しやすくなります。このことから「活性酸素」を減らす成分として、「抗酸化色素」「ポリフェノール類」が注目されています。よく耳にする「ポリフェノール」は、多くの植物に存在する色素・成分の総称です。赤ワイン、ブルーベリーなどに含まれる成分が健康食品として話題になっていますが、明確な根拠があるわけではありません。大豆イソフラボン、カテキン、β-クリプトキサンチンなども食品に含まれる色素・成分ですが、様々な効果が報告されています。健康食品の信頼性は、国立健康・栄養研究所のサイトなどで確認し、特定の食品に偏らないことが大切です。日々の食事は五色の食材を活用しながら、四季折々の食材を楽しみ、適量をバランスよく食べることが健康維持につながるのではないでしょうか。

 

 

前期第1回 平成28年6月4日(土)

「与謝野晶子が岡山に来たことがあるって本当ですか?」

加藤 美奈子(短期大学 生活実践科学科 准教授)

与謝野晶子は旅好きであり(35年間に170回、26都道府県を旅している)、岡山には昭和4年秋の高梁地域(4泊5日)、昭和8年6~7月(8泊9日)の瀬戸内~美作、津山の2度にわたり夫・与謝野寛(鉄幹)とともに訪れています。講演では、与謝野寛(鉄幹)・晶子夫妻の岡山の旅を冊子、別冊、マップでたどりながら、文学碑・ゆかりの地(安住院、松山城、宇土渓、井山宝福寺、日生、下津井、新見、奥津、津山等)を紹介しました。こうした文学碑は文学者の生涯・文学作品・足跡(旅)について知る契機になり、「その文学者・作品がその時代・その地域でどう受けとめられたかが伝わるものです」との話でした。最後、「郷土資料にのみ残されている作品も旅先の楽しみであり、皆様の地元にも新発見の資料があるかもしれません」という話が印象的でした。

本講演会には68名の参加があり、地元岡山の見どころを発見できた講演でした。



Viewing all articles
Browse latest Browse all 754

Trending Articles